私は何者か?客観的に自分を見る勇気。本『あとは死ぬだけ』の感想

私は何者か?客観的に自分を見る勇気。本『あとは死ぬだけ』(中村うさぎ 著)の感想

めちゃくちゃおもしろかった。
私の価値観に大きな影響を及ぼした気がする。

 

自分で自分を客観視すること。
理性を持つこと。
そうすれば、私が何者なのか、私が知ることができる。きっと。

そんな生き方は、きっと今より私らしい。

 

中村うさぎさんの著書『あとは死ぬだけ』を読みました。

 

本の内容は、エッセーです。
かなり赤裸々。
めちゃくちゃ辛辣。

爽快さを感じるほどの毒舌です笑

 

でも、その分、著者の考えがとてもわかりやすくて。
読みやすかった。
私の想像が及んでいない深い所での話なのかな?と感じた所もあったけど、今の私なりに受け取ることができました。

一理ある!と思える所も多々あり…
すべて私と同じ考え方というわけではないんですけど、一部めちゃくちゃ刺さりました。

 

  • 自分が何者かわからない人
  • 自分の人生に悩んでいる人
  • 今の世間の雰囲気に疑問を感じている人

そんな人が読んだら、何か見つけられるかもしれません。

 

ということで、『あとは死ぬだけ』の感想です。

ネタバレしている所もあるので、NGの方はご注意ください。


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「あとは死ぬだけ」(中村うさぎ 著)の感想

タイトル あとは死ぬだけ
著者 中村うさぎ
発売日 2016/7/16
出版社 太田出版

 

この本を読んだきっかけ

数か月前に初めて聴いた「Goodbye, Snow White」という曲の歌詞がめちゃくちゃ好きで。
作詞が中村うさぎさんだったので、本を読んでみることにしました。

(「Goodbye, Snow White」は、2016年5月に公演された舞台『* ASTERISK 「Goodbye, Snow White」新釈・白雪姫 』のテーマソングです)

 

ということで、本の感想です。

 

幾つになっても姫扱いされたい

確かにその通りだ!!!
と、ハッとしたのが以下です。

しかもその頃の私は、自分がおばさんになったら男にモテたいなんて欲望も自然に消えているだろうとタカをくくっていたのだ。

『あとは死ぬだけ』(中村うさぎ 著)より引用

 

目から鱗。

「おばさんは男にモテたいと思っていない」
なぜ私は今まで決めつけてたんだろう?と思いました。

とはいえ、私は既婚者…
モテたいなんて言ったら、いろんな誤解が生じそうですが笑

 

「モテたい」欲望って、具体的に現実の男の人に好意を持たれたい、というだけじゃないと私は思うんですよね。

例えば、
好感度高い職場の男子に女子扱いされて優しくされたらうれしいとか、
好感を抱いている男性アイドルにキャーキャー言ってドキドキするのが楽しいとか、
少女漫画の胸キュンにニヤニヤしてたまらん!とか。

他人の恋バナは、今も昔もテンション上がるし!

こういうのも、モテたい欲と同じようなエリアにある本能的な欲望なんじゃないかなー、と思っていて。

 

この欲、おばさんの今も、めちゃくちゃあるじゃん!!!笑

 

おばさんはこういうの興味ないんだろうなぁ、と若い頃の私が一方的に勝手に決めつけてただけなんですよね。
(未熟でした)

 

つまり、何が言いたいかというと、

「女性は、根っこでは、一生若い頃の女子の心を持っているのでは?」
「幾つになっても、本当は姫扱いされたらうれしいのでは?」と。

 

(それなのに女性は年を取るにつれ、どうしても姫扱いしてもらえなくなるわけで。しょうがないことだけど、年々この欲望は満たせなくなっていくんですよね。せつない…)
(「Goodbye, Snow White」はそんな歌詞だと解釈)

 

おばさんの私の中にあるこの欲の存在に気付いて、認めることができた気がしました。

 

あと、このあたりに書いてあった、女は何に欲情するのか、みたいな話もかなりおもしろかったです。

 

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信用してない世間を恐れる私

著者の世間との向き合い方がかなり興味深かったです。
すごく刺さりました。

世間の常識なんてものはめちゃくちゃ流動的で、これといった確固たる論拠など持ってないからである。時代が変われば手のひらを返したように常識を変える。そんな軽佻浮薄な世間なんてものの顔色を窺って生きるのは真っ平だ。

『あとは死ぬだけ』(中村うさぎ 著)より引用

 

今の私にこの覚悟はなくて…
自分が嫌われることを恐れて、顔色を窺ってしまう。

 

できるだけブログでは顔色を窺わないように心がけているけれど…

リアルな世界では、今もめちゃくちゃ顔色を窺ってる。

 

でも、正直な気持ちを言えば、著者の世間への考え方とほぼ同意なんです。
(「顔色を窺って生きるなんて真っ平だ」の部分以外は同意)

 

私は世間を信用してないんですよね。

それなのに、恐れている。

 

世間から後ろ指を指されることが怖い。

もし世間に背くようなことをしたら…
理不尽なことを言われて理不尽なことをされるだろう、と思っている。
何をされるかわからない。
世間から、どんな残忍で非人道的な危害を加えられるか、わからない。

「理不尽なことをしていい相手だ」と世間から認定されることが怖い。

世間を見下すどころか、私の場合は、自分を世間より下に見てる。

 

とはいえ…

なんだか良くない状態だな、不健全な感じがするな、と自分でも思います。
恐怖に支配されて、自分の気持ちに従った行動をしていない。

自分に正直になってる気がしない。
無意識に自分を偽って、我慢して、何かに縛られてる。

 

信用していない世間を恐れる。

「異端者」になることを恐れる私の臆病さ。
自分で自分を縛っている何かがあるんだろうなぁ…
この弱さは、私自身の自信のなさや自立心の低さが原因なのかな、とも思ったり。

 

自分の中で決着をつけた方がいい所なんだろうな、という気はしますが…

かなり根深そうなので、時間をかけてゆっくり考えていこうと思います。

 

客観的に自分を見る勇気

すごく響いたのがここです。
(エッセー本で泣いたのは珍しい気がする)

 

我々の歪みは武器になる。それが歪みであることを自覚するだけの客観性を有していれば、その理性が我々の足元を照らしてくれるのだ。私の歪みは、私が何者であるかを示唆している。檻の中で惰眠を貪っているものには決して持てない自覚である。ただ、その自覚には苦しみも伴うし、その後の人生にもはや安楽は保証されない。それでも自分が何者なのかを知りたければ、前に進むしかないのだ。

『あとは死ぬだけ』(中村うさぎ 著)より引用

 

めちゃくちゃ響いた…。

 

1年前くらいに、正義中毒について調べていて。

正義中毒にならないようにするには、自分自身を客観的に認知する能力が必要とのこと。
なお、自分を客観的に認知する能力は、脳の前頭前野の重要な機能らしい。

(過去記事:「正義中毒に近い依存症状?自分の承認欲求と優越感を満たすために嫌いな相手を見下し返していた過去」参照)

ということで、最近の私のマイブーム?は、
前頭葉を鍛えよう!(自分自身を客観的に認知しよう!)なんですよね。

 

そんな今の私に、めちゃくちゃグッときました。

肯定された気がしたのかなぁ。
厳密にいうと、自分で自分を肯定できるように頑張ってることを肯定された気がした、というか。

 

最近の私の話にあてはめると…

客観性を有して理性的であろうとする「大人の私」。
ただただ自分の欲に忠実で自分本位な「女児の私」。

 

この「女児の私」の存在をきちんと認めて、「大人の私」が客観性を有して見ることができれば。
この「歪み」が私の武器になるのかもしれない。

 

でも「大人の私」でいるのはつらいことも多いんですよね。

なぜなら、「女児の私」は、本当にろくでもないから!!!笑

あぁ…、自分はこんなに強欲で身勝手で自分本位なひどい所があったのか。
と自覚するのは、けっこうしんどい。

情けなくて、認めたくなくて、泣けてくる。

 

「客観的に見たときのろくでもない自分なんて、知らないふりをしてればいいじゃない。主観的には、清廉潔白で無欲な少女漫画のヒロインでいられるよ?」
と、「女児の私」が顔を出すこともあるわけで。

「大人の私」でいようとすることは、かなりしんどい。

 

「それでも自分が何者なのかを知りたければ、前に進むしかないのだ」

 

客観的に自分自身を見る勇気をもらえた気がする。

「大人の私」は、「女児の私」をなだめつつ…
泣きながら自分のペースで進むしかないなぁ、と思いました笑


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あとがき

『あとは死ぬだけ』、おもしろかったー!!!

 

自分ツッコミ、私もやろうかな!とか。
「世間から見たら愚かだとしても、嘘をつくよりはいい」みたいな所もグッときた…
あと最後の方の、「これは信仰ではない、信念だ。」のあたりもかなり興味深かったなぁ。

他にも刺さってる所があるけれど…
とりあえず、これくらいにしておこう!

 

実はこの本は数か月前に読み終えてたんですよね。

その後、時間がたっても心に残っているものが多くて…
感想を書くことにしました。

 

出会えてよかった!
読めてよかった!

私の価値観に影響を及ぼした本となった気がします。

 

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